その疲れ、夏の置き土産かも?―9月下旬の“秋バテ”を天気と心身から考えてみる―

2026年09月29日 19:58

9月も月末となりましたね🍂
朝晩には少しずつ秋らしさを感じるようになってきました。

真夏のような暑さが落ち着いてくると、

「これで少し身体も楽になるかな」

と思うものですが、意外とこの時期になってから、

「なんとなく身体がおもい」
「朝からスッキリしない」
「寝ても疲れが残っている感じがする」
「食欲がいまひとつ」
「やる気はあるけれど、身体がついてこない」

そんな感覚が出てくることがあります。

病気というほどではない。
でも、なんとなく本調子でもない。

もしかするとその感覚には、夏から秋へと季節が移り変わる時期ならではの「夏の置き土産」が関係しているのかもしれません。

夏が終わってから、疲れを感じることもある


夏というと、強い日差しや暑さによる消耗をイメージしやすいと思います。

ただ、身体にとって負担になりうるものは「暑さ」だけではありません。

冷房の効いた室内と屋外との温度差。
寝苦しさによる睡眠の変化。
湿度の高さ。
雨や曇りが続くことによる環境の変化。

そして9月になると、そこへ朝晩と日中の寒暖差や、台風・秋雨などに伴う気圧の変化も加わってきます。

今年の夏を振り返ってみても、もちろん暑い日はありましたが、私自身は例年とは少し違い、曇りや雨模様の日が多く、比較的過ごしやすく感じる日も多かった印象があります。

だからこそ、

「ものすごく暑かったわけではないのに、なぜか疲れている」

という人もいるかもしれません。

身体は気温だけではなく、湿度や気圧、光、睡眠、食事など、さまざまな環境の中で日々調整を続けています。

暑さだけを「疲れの原因」と考えなくてもよいのです。

ちなみに、今年の前橋の夏を振り返ってみると、もちろん30℃を超える暑い日はありました。

一方で、月平均気温を見ると、7月は27.4℃、8月は26.7℃、9月は25.2℃。

気温だけを見れば、夏から秋へ向かって少しずつ下がっており、今年は「急に夏が終わった」というよりも、比較的ゆるやかに季節が移り変わってきたようにも見えます。

その一方で、平均湿度は7月71%、8月73%、9月には80%。

私自身も今年は、晴天が続くというより、曇りや雨模様の日が多かったように感じています。

やはり今年は「夏の疲れ」を考えるとき、強い暑さによる消耗だけではなく、

「暑さ+湿気+天候の変化」

という視点も持ってみると、身体の感覚を捉えやすいのかもしれませんね。

季節の変わり目と自律神経


私たちの身体では、気温が上がれば汗をかいたり、寒くなれば熱を逃がしにくくしたりと、環境に合わせたさまざまな調節が行われています。

こうした調節に関わっているもののひとつが、自律神経です。

夏から秋へ向かう9月下旬は、

暑いと思ったら涼しい。
昼間は暑いのに朝晩は冷える。
晴れていたと思ったら雨になる。

と、環境が揺れやすい時期でもあります。

もちろん「寒暖差がある=自律神経が乱れる」と単純に決めつけることはできません。

ただ、環境の変化に身体が対応し続ける時期だからこそ、

「いつもより少し疲れやすいな」

と感じることがあっても不思議ではありません。

そんなときは、さらに何かを頑張るよりも、

「最近ちゃんと休めていたかな?」

と、一度自分の生活を振り返ってみるのもよいかもしれません。

東洋医学では、夏の疲れをどう見る?


東洋医学には、季節と身体を切り離さずに眺める考え方があります。

今回注目したいのが「脾胃(ひい)」です。

東洋医学における「脾」は、現代医学でいう脾臓そのものと同じ意味ではありません。

食べたものから身体に必要なものを取り込み、全身へ巡らせていく働きなどを含んだ、東洋医学独自の概念です。

夏は冷たい飲み物や食べ物が増えたり、暑さで食欲が落ちたり、湿気の多い環境で過ごしたりすることがあります。

東洋医学では、こうした「湿」の多い環境は脾胃と関連づけて考えられてきました。

そのため、

夏の間はなんとか過ごしていたけれど、秋になってから身体の重さや食欲の変化を感じる。

そんな状態を、夏の間に積み重なったものが季節の変わり目に表へ出てきた、と眺めてみることもできます。

夏が終わったのに、なんとなく身体がおもい。

そんな感覚も、「暑さにやられた」とひとつの理由に決めつけるのではなく、この夏をどんな環境の中で過ごしてきたのか、一度振り返ってみるのもよいのではないでしょうか。

雨の日が続くと、心まで少し重たくなる?


今年の9月、私自身がもうひとつ印象に残っていることがあります。

雨や曇りの日が続き、なかなか晴れ間が見えなかったわけですが、

そんな日々を過ごしていると、身体だけではなく、なんとなく気持ちまで重たくなったり、いつもより考え事が増えたり。

私自身、
今日もまだ太陽出てこないのかー
!?もしかしてもう出てこないなんてことは💦
なんて。

そんなことはないはずですが(笑)
そんな漠然とした不安感といいましょうか。

少し鬱々とした感覚になることがありました。

ここで東洋医学の考え方を眺めてみましょう。
すると、なかなか興味深いつながりがあります。

陰陽五行では「脾」は湿気と関連が深いと考えられてきたということでしたね。

そして脾に対応する感情とされているのが、

「思(し)」。

考えること、思いを巡らせること、そして考えすぎて思い悩むことなどと関連づけられています。

もちろん、

「雨が続いたから脾が弱って、考え込んでしまう」

と単純に説明できるものではありません。

ただ、昔の人たちは、

自然の状態。
身体の状態。
そして心の状態。

それぞれを完全に別々のものとしてではなく、ひとつながりの変化として観察していたのかもしれません。

一方、現代的な視点から見ても、私たちの心身は光や睡眠、活動量、生活リズムなど、さまざまな環境の影響を受けながら暮らしています。

だから、雨や曇りが続いてなんとなく気分が晴れない日に、

「もっと元気にならなきゃ」

と無理に自分を奮い立たせなくてもいいのかもしれません。

「最近、晴れ間が少なかったな」
「そういえば外に出る時間も減っていたな」
「ちょっと考え事が増えているかも」

そんなふうに、今の自分と周りの環境を一緒に観察してみる。

心の状態だけを自分の内側の問題として考えるのではなく、

「最近、自分はどんな季節の中で暮らしていたんだろう?」

と外側へ目を向けてみることも、ひとつの養生なのではないでしょうか。

そして、秋は「肺」の季節へ


陰陽五行では、

夏は「火」、
長夏は「土」、
秋は「金」

と対応し、

「土」は脾胃、
「金」は肺

と関連づけられています。

つまり今の時期は、

夏から続いてきた「脾胃」の状態をいたわりながら、秋の「肺」の季節へ身体を移していく時期

とも見ることができます。

秋になると、少しずつ空気が乾燥し始めます。

東洋医学では「肺」は呼吸だけでなく、鼻や喉、皮膚などとも関連づけて考えられてきました。

夏の湿気から、秋の乾燥へ。

暑さから、涼しさへ。

自然が変化するように、私たちの身体もまた、その変化の中を過ごしています。

だからこそ、この時期は「夏の疲れをどうにかしよう」とするだけではなく、

「これから秋を過ごす身体へ、少しずつ切り替えていく」

という視点も大切なのかもしれません。

まずは「回復できる余白」をつくる


疲れを感じると、

「運動しなきゃ」
「身体を整えなきゃ」
「食生活を変えなきゃ」

と、新しいことを始めたくなることがあります。

もちろん、それが心地よい場合はよいと思います。

でも、すでに夏からの疲れが残っていると感じるなら、何かを足す前に「回復できる余白」をつくってみるのもひとつです。

たとえば、

・いつもより少し早めに眠る
・朝晩の冷えに合わせて衣服を調整する
・冷たいものばかりに偏らず、温かい食事も取り入れる
・予定を詰め込みすぎない
・数分でも何もしない時間をつくる
・今の呼吸や身体の感覚を観察してみる

特別な養生をたくさん始めなくても構いません。

むしろ、

「今の自分は、ちゃんと休めているだろうか?」

と問いかけること自体が、ひとつの養生になるのではないでしょうか。

秋バテは、身体からの「立ち止まる合図」かもしれない


夏が終わったからといって、身体もその日から秋仕様に切り替わるわけではありません。

暑さ、湿気、冷房、睡眠の変化。

そして秋になってからの寒暖差や気圧の変化。

私たちの身体は、そんな環境の中でずっと調整を続けています。

だから、

「病気というほどではない。でも、なんとなく身体がおもい」

そんなときは、すぐに元気になろうとするのではなく、

「この夏、自分の身体はどんなふうに過ごしてきただろう?」

と振り返ってみてもいいのかもしれません。

季節の変わり目は、自分の身体を観察するタイミングでもあります。

夏の疲れを無理に追い出すのではなく、
少し休みながら、少しずつ秋へ。

心と身体にスペースをつくりながら、次の季節へ移っていきましょう。

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